本研究では、2科目に再編された共通教科「情報」の新科目について、現行3科目との比較を行い、目標及び内容を整理した。文部科学省による「高等学校学習指導要領新旧対照表」では、「社会と情報」は「情報C」と、「情報の科学」は「情報B」とそれぞれ対照されているが、本研究では、「社会と情報」、「情報の科学」ともに、現行の3科目と比較して「対応表」を作成した。本稿4ページの表3と5ページの表5は、その概略である。
「社会と情報」、「情報の科学」の実習の扱いについては、現行の学習指導要領に記載されているような、総授業時間数の2分の1以上や3分の1以上といった具体的な数値の記載はなくなったものの、新学習指導要領の「各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」には、「各科目の目標及び内容等に即して,コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用した実習を積極的に取り入れること。」と記載されている。これは、各科目における実習に配当する授業時数の割合を、各学校の実情に応じて弾力的に設定できるようにしたものであるが、いずれの科目においても実習の重要性に変わりはなく、実習と座学のバランスを考慮して適正な実習時間を確保する必要がある。
また、両科目とも標準単位数は2単位で、どちらか一方を選択し履修させる選択必履修科目であることは、従来と同様であるが、各科目の目標を達成するように配慮し、指導の効果を高めるためには、複数年次にわたって分割履修させるより、同一年次に2単位を履修させた方がより情報活用能力の定着に効果的であることから、従来なかった「各科目は,原則として,同一年次で履修させること。」という記載が追加された。
平成25年度入学生を迎えるまでに、各高等学校は新しい教育課程を編成することになる。共通教科「情報」に関しては、「高等学校学習指導要領解説 情報編」に「各学校においては,自校の履修科目を設定する際,今回の改訂の趣旨を踏まえ,学校でいずれか一つの科目に決めてしまうのではなく,両科目を開設して生徒が主体的に選択できるようにすることが望まれる。」(文部科学省2010
p.15)と記載されており、各高等学校では「社会と情報」、「情報の科学」をどのように履修させるかを決めなければならない。
「将来、いずれの進路を選択した場合でも必要となる情報活用能力を身に付けさせる」(中央教育審議会 2008 p.66)というH20答申の趣旨を踏まえ、各高等学校では、生徒にどのような情報活用能力を身に付けさせたいのかを考えて、履修科目設置の検討に当たっていただきたい。
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