高等学校共通教科「情報」 新科目の内容と授業アイデア

新科目の概要
 【新高等学校学習指導要領と新科目の概要】

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2.共通教科「情報」について
(1)情報教育の目標の3観点
 H20答申には「情報教育の目標の3観点とは、情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度のことである。」(中央教育審議会 2008 p.113脚注)と記されている。これは、平成10年に出された「情報化の進展に対応した教育環境の実現に向けて(情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議 最終報告)」の中で、情報教育の目標を「情報活用の実践力」、「情報の科学的な理解」及び「情報社会に参画する態度」の三つに整理したことによっている。この報告を踏まえて高等学校学習指導要領が現行のものに改訂され、その際設置された普通教科「情報」の目標に、この3観点が含まれている。教科「情報」の目標を学習指導要領改訂の前後で比較すると(表1)、共通教科「情報」においてもこの3観点をバランスよく学習させることを継承していることが分かる。


(表1)教科「情報」の目標の比較
改訂後
共通教科「情報」
改訂前
普通教科「情報」
情報及び情報技術を活用するための知識と技能を習得させ,情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ,社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる 情報及び情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して,情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ,情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。
 文部科学省による「高等学校学習指導要領解説 情報編」では、改訂後の共通教科「情報」の目標が大きく四つに分けて解説されている。
1.「情報及び情報技術を活用するための知識と技能を習得させ」は、3観点のうち「情報活用の実践力」に対応している。
2.「情報に関する科学的な見方や考え方を養う」は、3観点のうち「情報の科学的な理解」に対応している。
3.「社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ」は、3観点のうち「情報社会に参画する態度」に対応している。
4.「社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる」は、共通教科「情報」の最終的な目標である。「能力と態度」とは、「情報社会に積極的に参画するための能力・態度」と「情報社会の発展に主体的に寄与するための能力・態度」であり、それぞれの育成が新科目「社会と情報」、「情報の科学」の目標にうたわれている。

 現行の普通教科「情報」に設置されている「情報A」、「情報B」、「情報C」の3科目は、それぞれ「情報活用の実践力」、「情報の科学的な理解」、「情報社会に参画する態度」に重きを置いていることが各科目の目標から分かる。今回の改訂で、共通教科「情報」として「社会と情報」と「情報の科学」の2科目に改編されたが、H20答申には両科目について次のように記載されている。
「社会と情報」については、情報が現代社会に及ぼす影響を理解させるとともに、情報機器等を効果的に活用したコミュニケーション能力や情報の創造力・発信力等を養うなど、情報化の進む社会に積極的に参画することができる能力・態度を育てることに重点を置く。
「情報の科学」については、現代社会の基盤を構成している情報にかかわる知識や技術を科学的な見方・考え方で理解し、習得させるとともに、情報機器等を活用して情報に関する科学的思考力・判断力等を養うなど、社会の情報化の進展に主体的に寄与することができる能力・態度を育てることに重点を置く。
(中央教育審議会 2008「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)」 p.114)
 この引用から分かるように、「社会と情報」は「情報C」を、「情報の科学」は「情報B」をそれぞれ継承している。また、いずれの科目にも情報機器等の活用について記述されており、「情報A」も継承していると読み取れる。それぞれの「内容」の比較については、このWEBサイトにある、「対応表」のページを参照していただきたい。

引用・参考文献はこちらをご覧ください。

※引用文中の下線は、神奈川県立総合教育センターが加えたものです。

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