高等学校共通教科「情報」 新科目の内容と授業アイデア



 授業展開例 1
 このマークは、新学習指導要領で新たに追加・変更された内容に対応した部分を表しています。説明文にマウスカーソルを乗せると、対応する内容等が表示されます。

そのページ、正しく伝わってる?

WEBページを相互評価しよう

 この授業のねらい

自分が作ったWEBページを受信者が実際に利用する様子を観察することを通じ、情報を利用しやすい形に加工し発信することが、情報の受信者にとっていかに重要であるかを理解させる。

 授業の流れ

ステップ1  4〜5名のグループで、WEBページを相互に閲覧する
WEBページを閲覧する様子 まず生徒Aが作ったWEBページを生徒Bが閲覧する。ページ作成者のAは、Bがどの部分に注目しているかを観察すれば、伝えたいことが正しく伝わっているかを知ることができる。他のメンバーは、AのWEBページの見やすさや、情報の読み取りやすさについて、Bがパソコンを操作する様子を観察しながら判断する。Bがページを見終わったら、次はBが作ったWEBページをCが閲覧するというように、順送りしていく。
ここがポイント
受信者役の生徒に実際に操作してもらいながら、受信者がページをどのように操作し、情報を読み取っているかを間近に観察する機会を作り、WEBページが作者の意図したとおりに読み取られているかを確認させる。

ステップ2  閲覧者の様子を観察、記録する
記録用ワークシート
記録用ワークシート(PDFファイル)
※新しいウィンドウが開きます
 閲覧者の様子を細かく観察し、ワークシートに「画面のスクロールを繰り返している」、「リンク先のページとトップページを行ったり来たりしている」などを記録していく。また、一つのページをじっと見ているような様子でも、文章を読んでいるのか、画像を見ているのか、見やすそうにしているか見づらそうにしているかなどを観察し、記録する。

ステップ3  どうすれば伝わるか、話し合おう 新学習指導要領対応
 閲覧者の動作を記録したら、情報をうまく読み取れている場合もそうでない場合も、なぜそういう動作になったのかを考える。
 自分のWEBページについて、伝えたい情報を分かりやすく伝えるには、どこを改善していけばいいか考える。同時に、他のメンバーのページについても、操作性や視認性などについて、改善点を出し合う。ブレーンストーミングの方法を使い、自由に意見を出し合っていく。
「社会と情報」
(1) 情報の活用と表現
 ウ 情報の表現と伝達
「情報を分かりやすく表現し効率的に伝達するために,情報機器や素材を適切に選択し利用する方法を習得させる。」に対応

ステップ4  工夫を重ね、改善しよう
 出された意見を基に、WEBページによる情報発信に必要な工夫は何か、班で意見をまとめ、発表する。
 自分たちの班の意見だけでなく、他の班の意見も参考にしながら、自分のWEBページをどのように改善するか考え、最終発表に向けて作業に取り組んでいく。

 この授業の成果

文字と画像の配置や色使いの工夫など、一番伝えたい情報を的確に届けるためにどのような配慮や工夫が必要か、認識させることができた。

生徒の反応
  • WEBページを閲覧する様子自分では見やすいと思っても、他の人には伝わっていないことがあると分かった。
  • サイト全体のデザインを統一したら、見てほしいところに目が行くようになった。
  • ページの配色を同系色でまとめると、大事なところがかえって目立たなくなってしまった。
  • 長い文章で表現するよりも、短文やキーワードでまとめた方が受信者にとって分かりやすい。
  • 説明文と写真などのバランスが大切だと思った。
  • ふだんよく見るWEBページのデザインを気にするようになった。

 科目・単元

 新学習指導要領
 社会と情報
現行学習指導要領
 情報A 
(1)情報の活用と表現
 ウ 情報の表現と伝達
(1) 情報を活用するための工夫と情報機器
 イ 情報伝達の工夫  

対応表はこちら 

 指導計画(概略)

○学習の流れ(1コマ90分×4コマ)
1. インターネットで情報発信を行う際の仕組みを理解し、自分のWEBページを企画、デザインする。 企画書
企画書(PDFファイル)
※新しいウィンドウが開きます
2. WEBページの作成方法を理解し、自分のWEBページを作成する。
3. 中間評価で、評価の重要性を認識する。(本時)
4. 相互評価を通じて受信者を意識した情報発信を理解する。
本時の計画 指導計画はこちら
  学習活動 指導内容 指導上の留意点

自分のWEBページを確認する。
グループを作成する。
授業フォルダに保存した各自の課題を表示させる。
アップロードによって、正しく表示されない部分を確認させる。
相互評価を行うグループを指示する。
規定どおりに課題を作成しているか確認させる。
速やかにグループごとに集まるよう指示する。

WEBページを相互評価する。
評価ページについて、受信者役となる1名がサーバにアップロードされたWEBページを閲覧する。
受信者以外の生徒は、受信者がどのように情報を閲覧するか、細かく観察して記録する。
受信者役を交代しながら、グループ全員のページについて記録、分析する。
受信者役となる生徒は、評価するページ全体を閲覧する。
受信者が操作で迷っていないか、サイト全体をくまなく閲覧できているかなどのチェックを行わせる。
ブレーンストーミングを用いて、意見交換を行う。
各自の記録から、操作上のエラーの有無や情報量が適切だったかどうかについて意見を出させる。
情報を正しく、効果的に伝達するための工夫を、グループ内で意見交換する。
ささいなエラーでも、気付いたことはお互いに遠慮なく指摘させる。
より良いページに改善するための案を多く出すよう指導する。
グループごとに発表する。
受信者にとって利用しやすいWEBページにするための、デザインや情報配置における工夫など、情報伝達を行う際に注意する点をまとめ、グループごとに発表させる。
各項目の重要度を意識しながら、注意点を発表させる。
自分のWEBページを改善する。
全体発表で出された注意点と合わせて、情報発信には工夫が必要であることを確認させる。
情報を正確に伝達するための基礎的な技術を確認させる。
相互評価や全体発表を受けて、自分のページの改善案を考えさせる。
ページの改善作業を行わせる。
著作権・肖像権等に配慮した情報発信や、アクセシビリティの問題、適切な情報量について再度認識させる。
効果的な情報伝達に必要な工夫について、改善の優先順位を考えながら作業するよう指導する。


受信者を意識した情報発信について考える。
情報を発信する際は、受信者を意識してWEBページを加工することが重要であることに気付かせる。
情報の内容や操作性など、発信する情報を多面的に分析することの重要性を理解させる。

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