電子レンジを利用した二相培地の簡易滅菌

 

 オートクレーブや圧力釜を使わずに、電子レンジを利用して二相培地の簡易滅菌ができます。

 土壌と石灰岩は電子レンジで滅菌します。培養水は濾過滅菌された市販の天然水を利用します。                          

 ボルボックス、ミカヅキモ、クンショウモ、イカダモなどの培養に便利です。ご活用ください。

【用意するもの】

      無色透明のインスタントコーヒーの空きビン、培地用の土壌と石灰岩、霧吹き、      蒸留水、テープ付OPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)袋、ペーパータオル、

      市販のペットボトル入り天然水、

【写真の説明】

 上:インスタントコーヒーの空きビンを利用したボルボックスの培養

 下:テープ付OPP袋(右)、土壌と石灰岩を入れたOPP袋(左)

【方法】

 培養容器は無色透明のインスタントコーヒーの空きビンをよく洗浄して用います。

 土壌は休耕田の土や自然林の表土を採取して、日陰でよく風乾し、砕いて粒状にした後ふるいに掛け微塵を除いておきます。

 石灰岩は、ハンマーなどで5mm角に砕きます。

 インスタントコーヒー(内容量100g)の角形ビンを培養容器とした場合の方法を以下に示します。

@準備した土壌20gに砕いた石灰石(5mm角)3個を加え、テープ付きOPP袋(70×100mm)に入れます。

A袋の中に霧吹きで蒸留水を噴霧し、土壌を十分に湿らせます。

B袋を折り曲げ、付属のテープで止めます。このとき、レンジ処理で発生する水蒸気が外に逃げられるように袋の口を密封しません。 

C加熱処理中に電子レンジのターンテーブルの熱でOPP袋が融けるのを防ぐため、ターンテーブルにペーパータオルを2枚敷き、その上にBの袋を平にして並べます。

D電子レンジ(高周波出力500W)で3分間加熱します。

E加熱後OPP袋を取り出し、室温まで下がるのを待ちます。

Fよく洗浄して乾かしたコーヒービンに、加熱処理したOPP袋の口をハサミで切り取り、中の土壌を直接入れます。

G次に、市販のペットボトル入り天然水の口を開け、ビンの容量の8割ぐらいまで静かに注ぎアルミホイルで蓋をします。

H1日以上経過して培地が落ち着いてから微小生物を移し培養します。

 注意:簡易滅菌なので滅菌に失敗する可能性は否めないことや、微小生物の培養中のトラブルで培養に失敗することもありますので、同時に複数本(3本以上)平行して培養するとリスクを減らすことができます。

 使用するペットボトル入り天然水は、成分を人為的に調節していないものを用います。また、外国産のミネラルウォーターは培養に適さないことがあります。

 ボルボックスは低栄養を好むので、調整後、上澄が濃い褐色を呈するときは有機分が多すぎるので、土の量を減らします。



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