神奈川県立総合教育センター

教育課題研究課

 TEL:(0466)81-1659

 

○善行庁舎

〒251-0871

藤沢市善行7-1-1

アクセス 

小田急江ノ島線善行駅から徒歩8分

神奈川県立総合教育センターでは、平成23年度に『神奈川県教育史(戦後編)』の編纂に本格着手しました。昭和20年8月から平成9年頃までの本県教育のあゆみについて体系的に整理し、資料編4巻、通史編2巻、別巻(年表・統計編)、資料目録の刊行を目指しています。

 第13号(平成27年3月5日更新)

『神奈川県教育概要』

総合教育センターでは、『神奈川県公報』や『かながわ教育』(「教育史だより」第11号参照)、『かながわ社会教育』、『神奈川県教育概要』(以下、『教育概要』とする。)、『教委時報』などの教育史資料を所蔵しています。その中から、今回は『教育概要』を紹介します。

最初の『教育概要』は、昭和24年度の本県教育の記録として昭和25年6月に刊行されました。「総説」「教育財政」「学校の管理」「教職員関係」「学校教育」「社会教育」「健康教育」の七部構成で、巻末には教育委員会や事務局の機構や規則、職員名簿等が付され、総ページ数は161ページのものです。昭和27年度版までは『教育概要』の名称で刊行され、昭和28年度版から『教育年報』に名称が変更され、今日に至ります(※)。

※途中、昭和52・53年度版のみ『教育白書』と変更されましたが、昭和54年度版から元の『教育年報』に戻されています。年代が昭和30年代、40年代と新しくなるにつれて、記述内容は教育委員会の定型的な実績報告の性格が強くなっていきます。

昭和24年度版『教育概要』第一部の「総説」では、昭和23年秋に教育委員会制度が実施された後、本県の教育行政が辿ってきた道を顧みて、広く各方面に教育の現状を知ってもらうための資料の一つとして『教育概要』が編集されたとあります。

さらに「教育改革の理想が実現される為には、現場における教育関係者の教育への熾烈な情熱とひたむきな努力に俟つことは言うまでもない」としながら、「真に自由と平和の生活を営むようになるには、どうしても教育による以外にないという信念を持って、教育尊重の実を表さなければならない」という教育関係者へのメッセージが述べられています。

第五部「学校教育」の記述から、発足して間もない教育委員会事務局(現在の教育局)が試行錯誤をしながら制度をつくり上げていく様子をうかがい知ることができます。その内容の一部を列挙すると次のようになります。

1.学校教育指導

・指導主事を補助する「教科指導員」(※)を55名任命

※指導主事と共に教科の指導その他学校における教育計画を援助するものとされ、小・中・高等学校の教員が地区別に委嘱されました。

2.小学校

・本格的教育研究が発足

・社会科学習指導を中心として多彩な学習活動を展開

3.中学校

・新学制の基幹として独特な性格を持って設置

・選択教科制と個人別学習時間表、一教科担任制と教科教室制

4.高等学校

・学区制(19学区)の決定と男女共学(24年度は一部実施)

・定時制分校を津久井郡青根村に初めて設置(津久井高等学校青根分校)

5.幼稚園

・最初の県立幼稚園として県立横浜幼稚園を県立横浜第一女子高等学校(現、横浜平沼高等学校)に併置

・町立秦野幼稚園を中心に本県幼稚園カリキュラムを構成

6.特殊教育(※)

※昭和22年施行の学校教育法上の名称。平成18年の学校教育法改正後は「特別支援教育」。

・盲ろう就学児童募集と教師養成が課題

・県下小・中学校に「特殊学級」特設の気運が具体化

昭和24年度版(左)と昭和25年度版(右)

昭和26年度版(左)と昭和27年度版(右)

<参考資料>

○ 神奈川県教育委員会1950『かながわ教育』第八号

○ 神奈川県教育委員会1950『神奈川県教育概要』

教育史だより バックナンバー

第1号(平成25年10月3日更新)

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学校に眠っている教育史資料ありませんか?

第2号(平成25年11月12日更新)

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「学校日誌」も重要な教育史資料です

第3号(平成25年12月6日更新)

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マックマナスをご存知ですか?

第4号(平成25年12月6日更新)

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教職員適格審査とは、どんな審査?

第5号(平成26年3月17日更新)

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終戦から間もない頃の修学旅行

第6号(平成26年5月30日更新)

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最初のアチーブメント・テスト(ア・テスト)

第7号(平成26年6月30日更新)

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PTAと民主主義

第8号(平成26年8月27日更新)

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占領下の図書館 ~「CIE図書館」と「カマボコ図書館」~

第9号(平成26年9月30日更新)

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総合教育センターの前身、「神奈川県教育研究所」

第10号(平成26年10月31日更新)

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教育センターと内山岩太郎元知事の碑

第11号(平成26年12月12日更新)

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スクールカウンセラー制度の始まり

第12号(平成27年1月30日更新)

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生徒自治会(生徒会)と模擬議会

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『神奈川県教育史』の刊行

『神奈川県教育史』(戦前編)

『神奈川県教育史』は、近世後期から昭和20年までの本県教育のあゆみをまとめたものです。昭和46年から昭和54年度にかけて資料編4巻、通史編2巻にまとめて刊行しました。

『神奈川県教育史(戦後編)』の編纂

『神奈川県教育史(戦後編)』は、『神奈川県教育史』の続編として昭和20年8月から平成9年頃までの現代教育に関する資料を収集し、体系的に整理します。資料編4巻、通史編2巻、別巻(年表・統計編)、資料目録の全8巻での刊行を予定しています。

○ 『神奈川県教育史(戦後編)』に係る研究成果物

 『「連合軍指令綴」集成-神奈川県内各学校所蔵資料による-』(平成12年10月)

 『神奈川軍政部月例活動報告書(教育及び民間情報)』(平成13年2月)

 『神奈川軍政部月例活動報告書(教育及び民間情報)』増補改訂版(平成22年3月)

 『資料 神奈川の学校カウンセリング』(平成23年3月)

 『記録集 県立高校改革推進計画の軌跡』(平成25年3月)

 「神奈川県立の技術高等学校の設立と廃止 -高度経済成長時代における産業教育の一例-」(平成9年度長期研修員 柏木操男)

 「神奈川県の戦後教育行政に関する一考察 -指導主事制度の創設とその改変を中心に-」(平成10年度長期研修員 梶輝行)

 「占領下の神奈川の教育 -『神奈川軍政部月例活動報告書』に見る教育改革の諸相-」(平成11年度長期研修員 真壁広道)

 「戦後神奈川における教員研修に関する研究 -神奈川県立教育センターの設立とその役割を中心に-」(平成16年度長期研修員 武井勝)

 「戦後神奈川の教育に関する研究についての一考察 -県立教育センターにおける研究の分析を中心として-」(平成17年度長期研修員 新谷桂)

 「戦後神奈川における新制高等学校についての一考察 -『高校三原則』を中心として-」(平成22年度長期研究員 荻野賢)

 「高度経済成長期の神奈川における県立高等学校に関する研究 -いわゆる『職業高校』を中心として-」(平成24年度長期研究員 秋山幸二)

 「戦後神奈川県における青少年行政に関する研究 -県立青少年会館を中心に-」(平成25年度長期研究員 峯一路)

※リンクはすべてPDFファイルです。新しいウィンドウが開きます。

※閲覧を希望する場合は、総合教育センター教育課題研究課にお問い合わせください。

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◇資料の収集・整理

 個人や学校、国立・県立の公文書館や国立国会図書館等の機関が所蔵する神奈川県内の教育史関係資料を収集しています。

 市町村教育史、市町村史及び資料目録を収集しています。

 神奈川県公報、県史資料、県教育史資料、学校刊行物、学校記念誌等の件名目録及び教委時報、かながわ教育、かながわ社会教育の目次集を作成しています。

 神奈川県公報(教育関係記事)件名目録データベース(Excel版)

 「神奈川県戦後教育史年表」を作成しています。

 「神奈川県戦後教育史年表Ⅰ」(昭和20年から昭和45年)

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◇お願い

教育史の編纂にあたり、できるだけ多くの資料を集めたいと考えています。中でも、学校における教育活動の様子が伝わってくるような資料を探しています。次のような資料の所在について情報をお持ちの方は、総合教育センター教育課題研究課までご連絡をお願いいたします。

・ 新学制下の小学校・中学校・高等学校の発足準備に関する資料

・ 教育課程や教科書、副読本など教科指導に関する資料

・ 学校日誌など学校の動向を知ることができる資料

・ 作文、作品、ノート等児童・生徒の学校での様子を知ることができる資料

・ 学校給食に関する資料

・ 研究報告、研究会開催など学校の研究・研修活動を知ることができる資料

・ 青年学級や青年の家など青少年教育に関する資料

・ 公民館、博物館・資料館、図書館など社会教育施設の設置・変更・廃止に関する資料 等

<連絡先> 神奈川県立総合教育センター 教育課題研究課 教育史資料担当

(0466)81-1659[直通]

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